Brexitのリアル:デンマークの悩み – 続編
5ヶ月前ですが、イギリスの正式なEU脱退(いわゆるBrexit)に関連して、↓のnote記事で取り上げました。
https://note.com/embed/notes/nbb8b3d988e34
フランス・ドイツに対して力強く反対意見を言えるイギリスがいなくなってしまうので、デンマークはEU内でのアニキ的な大黒柱を失ってしまったという内容でしたが、いよいよ現実になってきました。
現在EUの中では、コロナで打撃を受けている経済を立て直すため、大型の財政出動政策を検討しています。ドイツやフランスが主導し、経済的に脆弱なイタリア・スペインなどの南欧が賛同するという形ですが、デンマークは財政規律を守りたい倹約派。
でも、力強く反対意見を代弁してくれるイギリスはもういません。
そこでデンマークは、倹約国で知られているスウェーデン・オランダ・オーストリアと一緒に、大型な財政出動政策に対して明確な反対意見を出すことにしました。
これまでデンマークはイギリスの陰に隠れて、あまり強い反対意見を出してこなかったので、他の加盟国にちょっとした驚きになったようです。こちらのニュースや新聞では、明確な反対意見を出した4カ国を “The Frugal Four” (倹約四兄弟) と呼んで、ヘッドラインで注目を浴びています。
例えば、The Local (デンマーク版) のヘッドラインでは、↓のように「(イギリスの)陰から出てきた」とのこと。
Sweden and Denmark step out of the shadows as EU’s frugals
スウェーデンとデンマーク、EUの倹約家として陰から表舞台に
ちなみに、財政出動に大賛成のスペインでは、同紙のヘッドラインは↓になっていました。世論の違いを垣間見れて興味深いです。
Spain and Italy to press EU’s ‘frugal four’ for coronavirus crisis funds
スペインとイタリア、EUの倹約4兄弟にコロナ危機財政案への同意を促す
さて、この後は政治的な駆け引きや交渉で落とし所を探っていくのだと思いますが、イギリス抜きでのパワーバランスがどうなるか、今後も引き続きウォッチです。