Brexitのリアル:外国語を勉強するイギリス人が増えるかも?

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過去に何度かBrexitネタの記事を投稿していますが、今日はイギリスが発表したばかりの新たな移民制度のお話です。

先日、イギリスがEU離脱後の新たな移民制度の概要を発表しました。詳細は2月20日付けの日経新聞「イギリス、ポイント制でビザ発給 年収や学歴で移民選別 」を読むと分かりやすいのですが、以下が新制度の骨子です。

① EU出身者とEU以外の国・地域の出身者を同じ扱いにする
② イギリスでの就労ビザを得るためには、学歴・経歴などで加算するポイントが一定の基準に満たす必要がある。(オーストラリアの制度と似ています)
③ 必要十分なポイントを得るためには、「一定の英語力」「英企業からの正式な求人」「職務上必要な技術」の3項目は必須となり、さらに年収が2万5600ポンド(約365万円以上)が必要。(博士号などの資格でもポイントは加算できるそうです)

まだ最終的にどうなるかは決まっていませんが、2020年12月末までの移行期間が終了すると、EU国籍の人達は自由にイギリスで働くことはできなくなります。

このポイント制度、オーストラリアに住んだことがある方なら馴染みがあるのではないでしょうか?オーストラリアの永住権(通称PR)を取ろうとすると、同じように英語力・学歴・職歴を元にポイントを計算して、一定基準を超える必要があります。イギリスの新制度は、オーストラリアの制度を参考にしたのだと思われます。

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さて、実はこのニュース、大陸に住むイギリス人にちょっとした激震が走っているそうです。

大陸に住むイギリス人というのは、イギリス以外のEU諸国に住んでいるイギリス人のことを指しているのですが、イギリスがポイント制度で移民を選別し始めると、EU側もイギリスに対して同じ制度を適用する可能性があり、今までのようにEUで自由に住むことができなくなることをかなり懸念しています。

特に気になっているのは、「一定の英語力」という制約。

EU側が同じ制度を取り入れると、フランスに住んでいるイギリス人はフランス語、スペインに住んでいるイギリス人はスペイン語、といったように住んでいる国の言葉をある程度使いこなせないとビザが発給されない可能性が出てきます。

イギリスに加えてアメリカ・オーストラリアのような英語圏の国の人って、英語が世界共通語ということもあって、実は英語以外喋れない人が多かったりします。
(妻の大学院のクラスメートの場合、ほとんどの人は母国語と英語に加えて他の言語もペラペラな人が多いのですが、アメリカ人だけが英語しか喋れないそうです)

そのため、現地語を喋れないイギリス人にとっては、「えっ、今さら現地語を勉強しないといけないの!?」という感じのようです。

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もう一つは「英企業からの正式な求人」という条件。

実は大陸側に住んでいるイギリス人、フリーランス、個人事業主、起業家という方が結構多かったりします。

この人たちは現地企業で求人があったわけではないので、同じような条件がつくと現地に住むためのビザが貰えなくなる可能性があります。

「えー、自由業なのに今さら就職活動はできないよ・・・」という方にとっては厳しい条件です。

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現時点では、EU各国はまだ対応方針を発表していないので、どうなるか分かりませんが、↓のツイッターによると大陸側に多くのイギリス人が住んでいます。

さて、これからの動向は↓がポイント。

  • これからEU側がどういうルールをイギリスに突き付けるのか?
  • 12月末までのイギリス-EU交渉で、お互い譲歩するのか?
  • 大陸側に住んでいるイギリス人が現地語を猛烈に学び始めるのか? (そうなったら、ちょっとおもしろい 笑)

日本人の僕は、安心して外野的な観察ができるので、また進展があればnoteで報告しようと思いまーす。

ちなみに、過去のBrexitに関する記事はこちらです。ぜひご一読ください♪

1月31日 Brexitでアニキを失うデンマーク
2月4日 イギリス人はどちらに並ぶのか? EU それとも Non-EU?

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