「柔軟性がとても高い」デンマークのジョブ型雇用
7月にオーフス大学院を卒業した奥さん、暫しのんびりしていましたが、就職活動を始めたと思ったら、なんだかんだでオーフス地元の会社でマーケティング系コンサルのお仕事をみつけてきちゃいました〜🎉
と言っても、奥さんはまだ学生ビザなので、働くことができるのは週20時間という制限があります。
※ デンマークの学生ビザ(Student Residence Permit)は、卒業から6ヶ月間の滞在猶予があり、その間に就職活動やResidence Permitの延長手続きをすることができます。
なので、お仕事は週20時間の制限内で働ける、プロジェクト単位での契約となりました。
ここで重要になってくるのが雇用契約書。
デンマークではきちんとした雇用契約書を結ばないと違法になってしまうので、先方から契約書が送られてきたのですが、不当な条件や変な内容がないか、デンマークの労働基準法に照らし合わせながらチェックです!!
デンマークの労働基準法
デンマークは「自由の尊重」を重視する社会なので、労働基準法も日本に比べて規制やルールが少ないようです。そのため、雇用主と従業員が同意すればかなり柔軟な労働契約を結ぶことができます。
ただし、労働者を守るための最小限のルールは法律で規制されています。
大まかに言うと、まず ①無期限雇用(もしくは長期雇用)のFunktionærloven (英: Salaried Employees) と ②期限付きのパートタイム雇用のDeltidsloven (英: Part-time Employees) という二つの労働法があります。
①のFunktionærlovenは、週8時間以上の労働を1年以上もしくは無期限に続ける社員が該当する労働法です。僕がこれに該当しますが、奥さんの場合は、プロジェクト単位で更新する契約なので、②の Deltidsloven と照らし合わせてチェックする必要があります。
さらに、いずれの雇用契約でも、③休暇条件を規定する Ferieloven (英: Holiday Law) という法律も適用されるので、これも併せてチェックが必要です。
徹底されている「同一労働同一賃金」
さて、そんなわけで Deltidsloven の原文(今日の見出し画像です)をGoogle 翻訳で英訳しながら読んでいたのですが、面白い規定を発見しました。
それがこちら👇
part-time employees must not be treated in a less favorable way than comparable full-time employees
パートタイム労働者は、同等のフルタイム労働者に比べて、雇用条件が不利であってはならない。
つまり、「パートタイムで働く人の時給は、同様の仕事をするフルタイムワーカーの時給換算と同等レベルでないといけない」というようなことを言っています。
おおお、さすがジョブ型雇用のお国柄。
「同一労働同一賃金」の考え方が非常に明確!
同一労働同一賃金というのは、「同じ仕事であれば、正社員であるか、非正社員であるかを問わず、同一の賃金でなければならない」という考え方。雇用形態に関わらず、仕事の内容で賃金を決めないとダメですよという内容です。
正社員と非正社員の給与格差が長年続いていると言われている日本では、同一労働同一賃金が法律で施行されたのは2020年4月とつい最近。
一方、デンマークでは遅くとも2001年には法制化されていました(もっと早くから法制化されているかもしれません)。
ライフステージに合わせて変更できる働き方
ここで、ふと思い出したのは、同僚プロジェクトマネージャーのHちゃん。
彼女はもともとフルタイム(週37時間)で働いていたのですが、お父様が亡くなられ、手続き等で忙しくなってしまいました。そこで、会社と話し合って週20時間労働のパートタイムに契約を変更。
この場合、Hちゃんのお給料は時給単価は変わらず、単純に少なくなった時間分だけが給料から控除されるという形になったそうです。
そして大変な時期が終わった後には、またフルタイムに復帰。この時も基本条件は変わらなかったようでした。
同一労働同一賃金が徹底されていると、Hちゃんのようにフルタイムとパートタイムを自由かつシームレスに行き来できちゃうのです。
ジョブ型雇用の利点は柔軟性
もちろん、日本でも時短制度を設けている会社があります。ただ、子育て以外で使えなかったり、期限が限られていたり、給料・昇進条件に響くケースも少なくはなく、デンマークと比べると使い勝手が悪いのが現状だと思います。
背景として、日本の会社員は職務内容を規定しない「総合職」がメインなので、実は同一労働同一賃金の考え方は適用しにいということがあるようです。
一方で、デンマークは職務内容を明確にする「ジョブ型雇用」が主流。仕事の内容を照らし合わせやすいので、同一労働同一賃金が当て嵌めやすいのかもしれません。
👇で書いたように、ジョブ型雇用が必ずしも良いとは限りません。
でも、ライフステージに合わせて雇用時間を比較的自由に設計できるというのはとても良い仕組みかも!!
子育てだけでなく、介護もあります。他にもスポーツ選手なら大会前の練習に集中したいというケースやボランティアに時間を割くという運用もできるかもしれません。こうなると、ワークライフバランスを超えたワークライフダイバーシティに発展するかもねっ!
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さて奥さんの仕事は今週からスタートしたばかり。久々の仕事(&英語での仕事)なので若干緊張気味ですが、奥さんなら大丈夫👍 しっかり稼いできてね〜💰