マスクに抵抗感があるデンマーク人の深層心理を考察

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【追記】 2020年8月8日現在、 デンマークの一部の地域の公共交通機関ではマスク着用が義務化されました。(詳細はこちらのnote記事)

日本ではアベノマスク8000万枚の追加配布が物議を醸していますが、欧州でコロナ・パンデミックが始まった今年の2月頃、欧米諸国のスタンスは「マスクは役に立たず、着用には反対※」でした。

ところが、今や多くの国で着用が推奨され、義務化する国まで出てきました。

例えば、フランスでは公共交通機関を使う際にマスクを着用しないと135ユーロ(≒17,000円)の罰金。さらに、7月20日からは、飲食店・小売店・図書館・役所・会社のオフィスなど、不特定多数が立ち入る屋内についてもマスク着用が義務化されたそうです。

フランスだけでなく、ベルギー・イギリス・イタリアなどの国も、同じようにマスク着用の義務化を進めているので、この半年で一気にマスクが「役立たず」から「スター級の主役」に躍り出てしまいました

欧米人が日常的にマスクをする姿を見るとは夢にも思ったことがなかったので、この変化に正直びっくりしています。

※正確に言うと、「マスクによって感染が防げるというデータはないし、マスクは正しく着用しないと効果が出ないから、一般市民が使っても意味がない。しかも、マスクを着用していることで変な安心感が出てしまい、手洗いなどが疎かになる可能性の方が高い。そのため、一般市民には推奨せず、正しくマスクを使用できる医療現場が優先的に使うべし。」というような根拠だったはずです。

マスク推奨に抵抗感があるデンマーク

ところが、デンマークではマスクを着用している人はほぼいません

先日、コペンハーゲンに用事があってプチ旅行をしてきたのですが、道中のバス・フェリー・電車でも、城や博物館などの観光地でも、街中でも、マスクをしている人はほぼ皆無。

古都ロキスレの中央広場で撮影した↓の写真で、マスク着用者を探してみましたが、見つかりませんでした。

画像1

そもそも、マスクを売っているところがありません。第二波に備えてマスクをストックしたかったのですが、薬局やスーパーに行ってもマスクが見つかりません。売り切れではなく、そもそも商品としてマスクを置いていません。(もしかしたら探し方が悪いのかもしれませんが・・・)

ただ、さすがに世界的なマスクの効果見直しを受けて、マスク着用を反対していたデンマーク国家保健委員会(Danish Health Authority)も7月5日にスタンスを変えました。

ところが「特定の状況においてはマスク着用を推奨する」と条件付き・・・。
なんだかマスクへの抵抗を感じます。

マスク着用に抵抗する深層心理(憶測です)

あくまでも僕の個人的な意見ですが、デンマークでのマスクに対する抵抗感の深層心理には、イスラム文化に対する恐怖感がある気がします。

誤解がないように前置きすると、今まで住んだ国に比べると、デンマークはずば抜けてインクルーシブな社会です。個人の価値観や考え方を尊重するのが当たり前という文化が根底にあるからだと思いますが、男女差別や人種差別をあまり感じさせません。コロナが拡大した際、海外ではアジア人への差別が多々報告されていましたが、僕自身はそのような体験はなく本当に安心しました。

それでも、デンマークにも極右勢力があります。しかも、イスラム文化にはかなり厳しめの政策

例えば、デンマークの難民受け入れ人数は年間約2000〜3000人と、EU諸国の中では少なめ。もともと厳しめの移民政策を持っていますが、イスラム系難民をあまり受け入れたくないのがデンマークの気持ちのようです。(難民認定者が80人ぐららいと、難民受け入れほぼゼロの日本に比べれば非常に多いですが・・・)

さらに、2018年には公共の場で顔を覆い隠す服装を禁止する「burqa ban」という法律を施行。ブルカ (またはニカブ)は、イスラム教の女性が顔を隠すために着用する服や布なのですが、デンマークでは公共の場でブルカを着用することは禁止されています。公共安全を盾にイスラム文化の象徴を狙い撃ちにした政策で、2019年には23人がburqa ban違反で1,000クローネ(約16,000円)の罰金となったそうです。

ところがこの burqa ban、法律上は「顔をマスクや布で覆い隠すことを禁止する」ということになっているので、コロナ対策としてのマスク着用は法律違反という見方も出来ちゃいます。

これが政治的には微妙なところ。burqa banを残しつつマスクを推奨するとburqa ban反対派から突っ込まれるし、burqa banを撤廃すると極右勢力が騒ぐ口実を与えてしまいます。上手にハンドリングしないと難民問題、宗教対立、極右勢力問題と、色々な社会問題に火を付けてしまうかも・・・。

そんなことは無いだろうけど、デンマーク国家保健委員会のスタンスが、水面下で燻っているイスラム文化への抵抗感や政治の駆け引きに対する忖度だったらすごく嫌だなぁ。

僕の意見としては、マスク着用を推奨/義務化を機に burqa banなんて撤廃してしまえ〜と思うんですけどね。

ちょっと補足:ごく一部ですが、デンマークでも空港や医療機関など、マスク着用が義務化されているエリアはあります。

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マスクに抵抗感があるデンマーク人の深層心理を考察」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: とうとうオーフス市🇩🇰でもマスク義務化 - Living in Denmark

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