「英語が上達しにくくなっている」という悩み
度々紹介しているように、僕はデンマークの精子バンク「European Sperm Bank」で、いわゆるデジタル・トランスフォメーションの仕事をしています。
デンマークの会社なので、僕の同僚は主にデンマーク人ですが、欧州を中心にグローバルにサービスを提供しているので、デンマーク人以外の欧州人も多く働いています。(日本人は僕だけですが・・・)
そんなわけで、European Sperm Bankでの共通語は「英語」で、もちろん、社外のパートナー企業や委託先との打ち合わせも英語ということになっています。
一応、僕は英語との付き合いが長いので、英語での会話や読み書きに困ったり、疲れたりすることはほぼありません。なんなら、連日ぶっ通しで英語の会議に出ても、日本語での会議を続けているのとあまり変わらない疲れ具合です。
でも、個人的にはひとつ悩んでいることがあります。
それは
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今以上に英語力が向上しにくいこと
もっと勉強すればいいじゃないか、という単純なことかもしれません。実際、以前紹介したような連載で英語のニュアンスや言い回しを学んだりしていました。でも、それなりの英語力がついてからは、これといった効果的な勉強法を見つけられていないのが現実です。
まぁ、TOEICの点数を高めるための参考書や勉強法は数多くある一方で、TOEIC満点またはそれ以上を目指す人のための特別な勉強法やアプローチはまだ確立されていないのかもしれません・・・💦(一応、僕もTOEIC満点取ったことがあったりします)
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そして実は、他の欧州人達も同じような悩みを感じているということがわかりました。
オーフス大学で研究をしているパワーカップルと奥さんが仲良くなり、夕食パーティにお呼ばれした時の話。
ドイツ人、イタリア人、フランス人、スペイン人、そしてデンマーク人とおしゃべりを楽しんでいました。みなさん、博士号を持つ研究者ということもあって英語レベルはかなり高い。高度な専門用語や言い回しを使いこなし、リズミカルなテンポで会話が続きます。
ですが、話の流れで「英語」の話になると、「英語が上達しにくくなっている」という点で共通の悩みで盛り上がり。
みなさんの同僚も欧州人ばかりで、英国人や米国人といった英語のネイティブスピーカーはいないそうで、「職場で、英語ネイティブスピーカーが使う語彙や言い回しから学ぶ機会が少ない」というのがドイツ人・イタリア人研究者の意見でした。
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この意見に対して、日頃英語を使って、欧州人と仕事をしている僕もこう思ったりしました。
「あー、まぁ、確かにそうかもなー。自分が知っている単語や言い回しで十分に会話や議論できちゃうし、周囲の欧州人も似たり寄ったりなので、お互い現状レベルで十分コミュニケーションできちゃうレベルだからなぁ。」
でも、一方ですぐ頭をよぎったのが
「でも、それって僕が好まない『ネイティブスピーカリズム』じゃないかな? ネイティブスピーカーだからと言って正しい英語を喋っているわけではないし、その人の語彙力が低かったり、言葉の使い方が下手っだたら、学べることはないもん。」
だから僕は少し違う見方をしています。
毎日同じ人と話していると、新しい言い回しや単語に出会う機会は自然と減ります。
特に職場は、同じ人達と同じ業務領域の会話が多いので、用いられる単語や言い回しがパターン化されてしまいがち。
これはネイティブスピーカーがいたとしても、使う言葉には偏りが出ちゃうので、「日常を繰り返している」と新しい表現方法に触れる可能性がどんどん小さくなっていきます。
ということは・・・
職場を離れ、異なる専門分野の人と会話したり、新しい分野の議論に参加する方が、もっと新しい単語や言い回しに接することができて、言語能力を伸ばす上でずっと有効じゃないかと思うのです。
実際、夕食を共にした欧州の友人たちとの会話では、馴染みのない英単語が何語か登場しました。僕たちとは異なる専門分野での研究職の人たちなので、僕と奥さんの日常や仕事で接しない言葉がちょいちょい出てきて、奥さんと勉強になったね〜と得した気分。
そして、この考え方は、英語に限らず、知識やスキルにも当てはまると思います。
仕事を通じてスキルや経験を高めるのも重要ですが、ある程度経験値を積んでしまうと職場はパターン化されて学びが薄くなってしまいがち。
転職しちゃうというのも一つの手ですが、あえて異業種交流会に参加したり、大学院やビジネススクールといったところで学び直しするというのおすすめ。
新しい知識や見方でグッと世界が広がりますし、異なる表現方法や言い回しに接することができるので、現状の知識やスキルを多方面にストレッチできるはず!
なんてかっこよく書いてますが、僕の現状は、英語よりもっとデンマーク語を上達させないといけない気がするんだけど・・・💦