Brexitのリアル:デンマークの悩み
先日、「中国から帰国したデンマーク人男性が発熱と咳の症状を訴えたため、オーフス大学病院が緊急検査中」というニュースが流れ、デンマークのコロナウィルス初症例か?と騒然となりました。幸いにも検査結果は陰性だったそうですが、コロナウィルスに関するニュースはデンマークでも取り上げられています。
ただ、本日1月31日の欧州は別のニュースが新聞の中央を飾りました。
すごーくシンプルなトップページですが、右下の絵がポイントです。
よく見かける「出口のExitサイン」を模して、英国の国旗🇬🇧を来た人が出口からでていく様子を書いて「BREXIT」の雰囲気を見事に表していますね!
そう、実は本日をもってイギリスはEUを正式に離脱、いわゆるBrexitしました。今日はどの新聞もその特集を組んでいるようです。
この後は12月末まで移行期間が設けられるため、実質的な変化はわずかですが、約50年近く続いた共同体から英国が抜けるため、メディアは歴史的な変化と捉えているようです。
Brexitで何が変わるのかというのは、↓の日経新聞がとてもわかりやすいのでそちらにお任せして、日本で報道されないだろうデンマークの悩みをお伝えしますね。
ブレグジット、英・EUどう変わる? 31日に離脱へ: 日本経済新聞英国が1月31日、いよいよ欧州連合(EU)から離脱します。離脱のタイミングは英時間1月31日午後11時(日本時間翌午前8時r.nikkei.com
デンマーク、Brexitを「やべー、🇬🇧アニキがいなくなっちゃった💦」と受け止めているそうです。
Brexit前のEU内の政治的パワーバランスでは、EU加盟国の統合をより深めたいフランス・ドイツに対して、EUの中央集権化を好ましく思わない英国が反対するという構図でした。
実は、デンマークなどの北欧諸国のEUに対するスタンスは英国に近いです。EUの中央集権化が進むと、加盟国は今以上にEUに対して拠出金を出さないといけなくなります。これは税率が高い北欧諸国すると、他国のために自分達の税金を使っているような感覚になり不公平に映るようです。
なので、フランス・ドイツが統合を深める提案をしてきた時には、猛烈に反対してくれる英国の影に隠れて、「そうだ!そうだ!英国アニキに賛成〜!!」と、英国アニキを応援するというのが、デンマークのスタンスでした。
ところが、英国がEUを離脱しちゃうことで、反対意見を言ってくれる大黒柱を失ってしまいました。
見出し画像のBorsen紙が、”We are now losing a major and strong ally in Brussels” (我々はブリュッセル※における主要で強力な同盟国を失いつつある)と評しているように、デンマークの各社新聞はEU内の仲間がいなくなることを心配しているようです。
※ブリュッセルにはEUの主要機関が多い
今まで副生徒会長というあまり責任がない仕事をやっていれば良かったのに、バシバシ仕事をしてくれた生徒会長が突然転校してしまい、ちょっと途方にくれている、という状況に似てますね(笑)
EUと言っても加盟国のスタンスが異なるので舵取りが大変なのでしょうね。おそらく欧州ではどの国もBrexitを取り上げていると思うのですが、それぞれどういうスタンスなのでしょうね。ちょっと気になる。
イギリスがいなくなったEU内でパワーバランスがどうなっていくか、またデンマークの役割がどう変わっていくか、今後も引き続きウォッチしたいと思います。