働きやすくても、厳しいところは厳しい!デンマークの「ジョブ型雇用」
以前、こちらの記事で「デンマークの会社は従業員満足度に気を遣う」というnoteを書きました。
でも、厳しいところはすごく厳しい。
先日、社長からこちらのシンプルなメールが届きました。
みなさん、
本日、XXXさんが退職することになりました。そのため、本日が最終出社日です。
XXXさんの今後の幸運と活躍を願っています。
以上
えっ?!プロジェクトマネージャーのXXXさんは、確か昨年の11月に転職してきたばかり。
デンマークでは転職するのはごく普通の事なので、もう次の仕事を見つけて転職しちゃうのか・・・。
そう思ったのですが、メールの書き方がいつもの退職者の連絡と異なり違和感がありました。
自ら退職する場合、会社への通知は原則1ヶ月前通知。退職の意向を出してから実際の退職日まではきちんと働くのが普通なので「本日が最終出社日」とはならないはず・・・🤔
ちょっとばかり気になったので、デンマーク人の同僚にそれとなく聞いてみました。
すると・・・。
なんと解雇されてしまったそう😱
そして解雇理由は「プロジェクトマネージャーとしてのスキルが期待に見合わない」から。
***
ジョブ型雇用が当たり前のデンマークでは、業務に必要な能力が備わっていないという理由だけで簡単に社員を解雇することができます。
もちろん福祉がしっかりしているデンマークでは、解雇されてもすぐに路頭に迷うということはありません。でもびっくりするぐらい簡単に解雇できちゃいます。
なお、Funktionærloven という正社員雇用契約の場合、解雇の事前通知期間というものが法律で定められています。この事前通知期間分の給料は会社が保証しないといけないのですが、👇のように勤続年数が増えれば、増えるほど通知期間が長くなるという仕組み。
勤続年数 0.5年未満: 1ヶ月前通知(試用期間(最大3ヶ月)は14日前通知)
勤続年数 0.5年以上〜3年未満: 3ヶ月前通知
勤続年数 3年以上〜6年未満: 4ヶ月前通知
勤続年数 6年以上〜9年未満: 5ヶ月前通知
勤続年数 9年以上: 6ヶ月前通知
さて、今回解雇されてしまったXXXさん、プロジェクトマネージャーとして採用されたのですが、期待されていた働きではないと判断されてしまったようです。
そして、勤続期間が6ヶ月を超えてしまうと、解雇通知期間が3ヶ月に伸びてしまうため、その前に解雇通知をしたっぽい。
うわー、結構ドライ・・・。
ん?そういえば・・・、昨年9月から働き始めた僕は勤続7ヶ月。気にしてなかったけど、解雇されやすい6ヶ月ラインは超えていました。ちょっと安堵です💦
👇の「ゼロ残業の光と影」のnoteでは、ジョブ型雇用とゼロ残業について紹介しましたが、解雇のされやすさと言う点も影の1つなのかもしれません。
【ちょっとした補足:日本型の無期雇用とジョブ型雇用の違い】
日本型の無期雇用は、特定ポジションでの採用ではなく、会社としての採用という意味合いがあります。この場合、会社は自由に社員を異動させたり、本人の意向・専門分野・経歴とは違う業務に就かせることが可能です。ただし、会社は柔軟な人事権を行使できる代わりに、社員のポジションがなくなっても、社員の能力が足りなくても、会社の中で別の仕事を用意する義務が生じます。そのため、日本の会社では社員の解雇はハードルが上がります。
一方ジョブ型雇用は、ポジションに紐づいた限定雇用なので、ポジションが無くなったり、ポジションで求められている能力が不足している場合、社員を解雇しやすい契約と言われています。
ピンバック: デンマークの会社の「送別会」 – 円満退職編 - Living in Denmark