「採用が難しい」デンマークのジョブ型雇用
上司のデンマーク人CTO、最近ちょっと頭を抱えています。
実は、立て続けに若手の技術メンバーが転職でいなくなってしまい、補充を探しているのですが新規採用に手こずっている模様。
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以前も👇のnoteで紹介しましたが、デンマークはジョブ型雇用が一般的。仕事のポジションの役割や業務内容を明らかにして、スキルや経験がピタッとマッチする人を採用するという採用スタイルです。
スキルや経験がかなりピタッと合致しないと、書類審査で落とされちゃうので、デンマークの就職活動はかなり苦労します。特に、大学を卒業したばかりの経験が乏しい若手には厳しい世界(>_<)
一方で採用する会社はと言うと、あまりにもスキルや経験をピンポイントに指定してまうので、リストに挙がってくる人数が少ないという問題も。
スキルや経験が合致して採用OK!!となっても、給料交渉が折り合わずサヨウナラというケースもあるので余計難しい・・・(特に中小企業ではその傾向が強いそう)
そんなわけで、CTOのエンジニア補充探し活動はちょっと難航中&長期化中な状況です。
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さて、経験値が高いSenior Engineer探しに苦労しているようだったので、
要求スペックを少し下げて、経験の浅いJunior Engineerを採用するのはどう?ベテランと一緒に小さなプロジェクトを3回ぐらい回せば、経験もつくし、長期的にみたら良いじゃないの?
と意見を言ってみたのですが、あまり乗り気ではなさそう。
理由のひとつは、会社では新規クライアントさんが増えていて、これから新しいプロジェクトが目白押し。なので即戦力が喉から欲しいという背景があります(嬉しいことに、デンマークはパンデミックからの回復の勢いで景気が急ピッチで良くなっています)
でも、もっと大きな理由は、ベテラン達の貴重な時間を「教育」に割きたくないからなのかもしれません。ベテランは給料が高い分、時間単価がとても高いので、会社の売上・利益に貢献するところに投入したいのだと思います。
結局のところ、
「経験やスキルが足りない若者は仕事が見つからず、
ハイスペックを求める企業は採用できずに困る」
ジョブ型雇用のデンマークでは
そんなミスマッチが助長されているのではないかと思いました。
日本でもジョブ型雇用という声が挙がっていますが、日本のメンバーシップ型雇用とデンマークのジョブ型雇用の両方の経験を踏まえると、若い世代はメンバーシップ型雇用で積極的に採用し、ある程度のキャリア・経験が必要なベテラン職・管理職に進むならジョブ型雇用で採用し直すというのが良いのかもしれません。
これならポテンシャルある若者に門戸を広くできる一方、硬直化しやすいベテラン・管理職層はジョブ型で流動性を高めて新陳代謝を促せるのかもね。
さてさて、うちのCTOに「教育への投資」を促す良い手を考えなくては・・・。
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