女王の大晦日スピーチに垣間見る火種
あけましておめでとうございます!!
大晦日の年越しは、いつも仲良くしてもらっているデンマーク人&香港系イギリス人カップルのお家で、こじんまりと過ごしました〜。
※ コロナ規制下のデンマークでは、10人以下・ソーシャルディスタンス・事前検査などのガイドラインを守れば、一応集まってもOKということになっています。
昨日のnote動画で紹介したように、四方八方で打ち上がる盛大な花火鑑賞がメインイベント。
でも、デンマークの年越しに欠かせないもう1つのイベントはマルグレーテ2世女王(80歳)のスピーチ!
大晦日の夕方6時にテレビで生中継されるので、デンマーク人のみなさんは床の間で女王のスピーチに耳を傾けるのが恒例のようです。
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さて、お隣のスウェーデン🇸🇪とノルウェー🇳🇴にも国王がいます。
そちらもスピーチを行うので、スウェーデン王国のカール16世グスタフ国王(74歳)はクリスマスの12月25日に、ノルウェー王国のヘラルド5世国王(83歳)は大晦日の12月31日にそれぞれスピーチをしています。
今年はやはりCOVID-19が象徴的な出来事だったので、デンマーク・ノルウェー・スウェーデンはいずれも、コロナ感染拡大を止めるための国民の理解と協力への感謝、国民と一緒に苦難を乗り越えようと元気付けるメッセージがメイン。
でも、公開されている各王室のスピーチ内容を比較するとデリケートな違いを発見!!
ノルウェー・スウェーデンのスピーチは、終始COVID-19に関する内容なのですが、デンマークのマルグレーテ2世女王のスピーチにはCOVID-19以外のことも言及していました。
それは、グリーンランドとフェロー諸島への配慮が随所に見られること。
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グリーンランドとフェロー諸島は北太平洋にある島です(グリーンランドはめちゃくちゃ大きい島で、フェロー諸島はとても小さな群島です)。
一応、デンマーク王国の一部ですが、それぞれが独自政府を持つ自治領ということになっています。
実はこの自治領、あまり表沙汰にしたがりませんが、デンマークにとってはちょっとした悩みの種。
特にグリーンランドは、過去にデンマークが行ったかなりブラックな政策の悪影響で、失業者やアルコール中毒者といった社会問題が多い上に、デンマークからの補助金(年間約600億円以上)がないとやっていけない状況。ですが、デンマークへ反発する世論も根強く、独立したがる人たちも。。。
一方で、漁業で成功しているフェロー諸島は昔から独立気質が高く、対応をちょっとでも間違えると独立しちゃうかもしれないハラハラ感があるようです。
そんなデリケートな関係なので、マルグレーテ2世女王のスピーチには必ずグリーンランドとフェロー諸島の国民へのメッセージが添えられます。
特に2021年は、デンマークの国王がグリーンランドに初めて訪れてから100年目となる記念年(?)のこともあり、両自治領には必ず訪問したいと力強くメッセージを出していました。
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ちなみにデンマーク、カルマル同盟時(14〜16世紀)にはグリーンランド・フェロー諸島に加えて、ノルウェー、スウェーデン、アイスランド、フィンランドの一部まで支配していたことがあります。そして大航海時代にはアフリカ、インド、東インド諸島、南アメリカに植民地を持っていたことがあります。
でも、敗戦・政策ミスによる離反・交渉下手などが祟り、現在の領土まで縮小してしまいました(おまけにグリーンランドとフェロー諸島は自治領)。デンマーク人の友達いわく「デンマークは領土を失う天才だからね〜(苦笑)」と自虐的😅。
北極圏の資源を狙ってアメリカ・ロシア・中国などの大国が競り合っている中、北極に近いグリーンランドの火種はもっと大きくなってしまうかも・・・🤔
一方で、同様な自治領問題を抱えていないスウェーデン・ノルウェーでは、自治領への配慮はあまり必要がなさそう。だから、国王スピーチは「COVID-19を一緒に乗り越えよう!」というメッセージだけで十分なのかもしれません。
以上、「スカンジナビア3兄弟の国内情勢が反映されてるなぁ」と感じた北欧王室の年越しスピーチ比較でした!
■ 出典
🇩🇰デンマーク王国マルグレーテ2世女王のスピーチ(英語)
https://kongehuset.dk/en/news/the-new-years-address-2020-0
🇸🇪スウェーデン王国カール16世グスタフ国王のスピーチ(スウェーデン語)
https://www.kungahuset.se/kungafamiljen/hmkonungcarlxvigustaf/tal/hmkaretstal/hmkonungensjultal2020.5.5e7d48041768421df9c1f52.html
🇳🇴ノルウェー王国ヘラルド5世国王のスピーチ(ノルウェー語)
https://www.kongehuset.no/tale.html?tid=186109
参考記事「How big has Denmark been in the past?」(英語)
https://sciencenordic.com/denmark-history-society–culture/how-big-has-denmark-been-in-the-past/1444682