十字軍騎士団とデンマーク国旗🇩🇰
昨日に引き続き、今日もデンマーク国旗🇩🇰ネタ & いきなりのクイズです!
こちら↓の写真の中央に写っている旗はどこの旗でしょうか?
実は・・・
デンマークの国旗ではありません!!
かなりの引っ掛けですが、正解はなんと「マルタ騎士団」という特殊団体の旗でした!
下記の通り、デンマークの国旗は、マルタ騎士団という本物の騎士団の旗とデザインがそっくりです。大きな違いはデンマークの国旗は十字架の縦が中央ではなく左にずれていますが、他は概ね同じようなデザインですね。
(←左)マルタ騎士団の旗
デンマークの国旗(右→)
マルタ騎士団とは
マルタ騎士団は、正式名称を「ロードス及びマルタにおけるエルサレムの聖ヨハネ病院独立騎士修道会」と言い、今も実際に活動を続けている由緒ある騎士団です。
元々は、12世期の十字軍時代にエルサレムへの巡礼者に宿泊・医療を提供する機関でした。そして、巡礼者を守るため、徐々に軍事組織「聖ヨハネ騎士団」となり、16世期から18世紀まで地中海のマルタ島を拠点に「マルタ騎士団」として、イスラム勢力との攻防を繰り返していたそうです。(途中、ロードス島を拠点にしていたこともあるので、ロードス騎士団とも呼ばれています)
現在のマルタ島は、観光・語学留学が人気な地中海のリゾート島で、マルタ共和国となっています。観光資源としてマルタ騎士団の歴史的活躍を全面に使うので、マルタ島には国旗と並んでマルタ騎士団の旗がいたるところに立ち並んでいるのが面白いです。
実は、冒頭の写真は、よーく見ると、右側にマルタ共和国の国旗🇲🇹が見えるところがヒントでした ^-^
一方、マルタ騎士団はイタリア・ローマに本拠地を移し、当初の医療活動を続けています。領土を持っていないため国ではありませんが、96ヵ国と外交関係を持ち、国連にもオブザーバー参加できる権利を持っているため、実はかなり特別な組織です。
なぜデンマークの国旗とマルタ騎士団の旗は似ているのか?
さて、デンマークの国旗とマルタ騎士団の国旗が似ているのは実は理由があります!
デンマークの伝説によると・・・、
1219年、デンマーク王国のヴァルデマー2世がエストニアを攻めた際、戦いは劣勢に傾き、あと一歩で負ける寸前でした。その時、「この旗を高く上げよ!されば勝利に輝く」という声と共に、天から赤地に白い十字架を表した旗が落ちてきました。それを手で掴んだヴァルデマー2世が、旗を高く掲げると、なんと形勢は逆転し、デンマークはエストニアに勝利したのでした!!
この奇跡をきっかけにデンマーク王国は現在の国旗🇩🇰を使い始めたと言われています。
こちらの画像👇、伝説をもとに描かれた絵画です。
画像の出典: By Christian August Lorentzen – Statens Museum for Kunst, image, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=581768
あくまでも伝説、しかも諸説ありなのですが、天から突然に旗が降ってくることはないので、実際はその時に北欧まで活動を広げていた「マルタ騎士団(当時は聖ヨハネ騎士団)」の旗が、なんらかの理由でデンマーク王国軍の手に渡ったのではないかと言われています。(たまたま偶然という説もあれば、神聖ローマ帝国皇帝から直々に賜ったものという説もあります)
ちなみに、十字架の縦の線が左にずれているにも理由があります。デンマークはヴァイキングとして海軍が強かったので燕尾の旗が使われていました。その時、切れ込みがあっても十字架がちゃんと見えるように十字架の縦の位置を左にずらしたと言われています。
史実は定かではありませんが、地中海で活動していた十字軍騎士団の旗が、北欧デンマークのヴァイキングと融合して世界一古い国旗になるというのは本当に歴史を感じますね!
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