大学寮のランドリーと洗濯おばけ
先日、我が家で「洗濯おばけ」が出た。
子供の頃には頻繁に現れていたが、大人になってからは見かける事がなくなり、最近は存在すら忘れていた。
それが、デンマークで久しぶりに現れたので、つい興奮してしまった。
「ねっ、ねっ、ねっ、久しぶりに出たよ! 洗濯おばけが出たっ!!」
勉強机で宿題に取り組んでいた奥さんは、突然僕に声をかけられて、ポカーン。
なんのこと?という顔で、僕を見てきたので、
「ほら!洗濯おばけが君の靴下を持って行っちゃったよ!!デンマークにも出るんだねぇ・・・」
と片方になってしまった奥さんの靴下を見せる。
すると、「えっ、靴下無くなっちゃったの? っていうか、洗濯おばけってなになにっ? 靴下、単に洗濯機か乾燥機の中に忘れてきちゃっただけじゃなぁい?」とちょっと冷ややか・・・。
いやいや、靴下を片方だけ持っていくのは「洗濯おばけ」の仕業と相場が決まっているのに・・・
まさかっ!!
うちの奥さんは「洗濯おばけ」に出会った事がないのか!
僕は3人兄弟の末っ子。小さい頃、靴下の片方がなくなるのは日常茶飯事だった。その度に母は「洗濯おばけの仕業ね。そのうち出てくるわよ。」と片方だけの靴下を何事もなかったようにタンスの中にしまっていた。
びっくりしたことに、奥さんにはその経験がないらしい・・・。
洗濯おばけはどこの家でも現れると信じていた僕は、奥さんのお母さん(義母)にもつい確認。すると、「あははー、洗濯おばけ、聞いたことないわぁー(^O^)」と笑われて終わった。
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ところで、デンマークのアパートは、自分専用の洗濯機は持たず、共有ランドリールームがある場合が多い。僕が住んでいる大学アパートでも、7台の洗濯機・4台の乾燥機が設置されており、24時間使うことができる。
稼働状況はスマホで確認できるので、ランドリールームにいく前に空き状況を確認すると無駄足がなくて良い。支払いも、入居時に配られるタッチキーを使うことで家賃で精算してくれるのでキャッシュレス。
デジタル・デンマークでは、ランドリーもデジタル化されているのだ。
しかし、いかにデジタル化されても、共有のランドリールームは「洗濯お化け」にとって居心地が良い環境なことは変わらない。実際、「洗濯お化け」が隠したと思われる片方の靴下をよく見かける。
洗濯の際には細心の注意を払い、さらにランドリールームを何度も確認したが、片方の靴下は結局見つからなかった。きっと洗濯おばけが持っていたに違いない。母の言う通りなら、そのうち返してくれるはずだ。
***
さて話は戻り・・・
奥さんの実家は洗濯おばけの存在を信じてくれなかったので、僕は母に聞いてみた。
すると母は、「それはそうよ。洗濯おばけは男兄弟がいないと出ないのよ。お嫁ちゃんのお家は2人姉妹でしょ!」と、何を分かり切ったことを聞くのだ、という顔であっさり返してきた。
なるほど、そういうことだったのか・・・。
***
【追伸】洗濯おばけ、ちゃんと靴下を返してくれました!僕のTシャツの間に隠れていたみたいで、Tシャツを着たらぽろっと出てきました。
ほらね、ちゃんと返してくれるでしょ?
(乾燥機の静電気で、靴下がTシャツにくっついたのでは・・・というつっこみは、僕の心の引き出しにしまいました)
ピンバック: 「北欧の妖精こびとのいたずら月間」が社内で進行中 - Living in Denmark