利用者目線で作られたデンマークの電子行政

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デジタル・デンマークと題して、デジタル先進国デンマークの取り組みに関して記事を非定期投稿していますが、今日ご紹介するのは、デンマークの電子行政についてです!

事例① 驚くほどスムーズな窓口手続き

これまで、図書館 兼 市民サービスセンターのDokk1には何度も足を運んでいます。住民登録や免許証取得などの各種手続きに加えて、本を借りたり、セミナーイベントに参加するというのもありました。

その中で、日本と決定的に違うことがあります。

それは、「申込用紙」や「申請書類」への手書き記入が一切ない事です。

住民登録は、事前にオンライン申請するので、手書きの書類はありません。日本のマイナンバーのモヤっとポイントにも挙げましたが、日本なら転出前の役所と転入後の役所の窓口で、日本太郎のサンプルを見ながら書類記入をしますよね。

免許証取得の際は、窓口で担当者が証明書類を確認しながら、その場でパソコンに入力していくので、5分ぐらいで完了します。途中、過去5年間で免停になっていないことを宣誓するため、電子パッドに署名しますが、紙は登場しません。

図書館の利用登録も、申込用紙はなく、Information Deskで健康保険証(Yellow Card)を見せるだけで完了!

このようにデンマークでは「紙」に頼らない手続きなので、窓口には「記入机」はほとんど見かけず、市民サービスセンターはとても広々しています。

👇左はDokk1の市民サービスセンター・右は日本の典型的な市役所窓口です

図1

デンマークでは、CPR番号で管理している情報を上手に使っているからこそ、「紙」をなくすことができるのですが、当たり前のように手続きが終わるので最初は気が付きませんでした。日本の行政と比較すると驚くほどスムーズなので、利用者から観ると、ものすごく心地良いです。

また、行政から観ると、(一例ですが)手書きによるデータの「揺らぎ」を防げるので無駄がなく効率的です。例えば、住所にマンション名を入れる・入れないや、番地に1丁目1番地1号と書くか1-1-1と書くか、その時の気分や用紙のフォーマットでデータに揺らぎが発生します。同じ住所なのに違う書き方が存在すると、検索や異なるデータベースを組み合わせる際に、人の確認が必要になるので時間も費用がかかります。

業界的には「名寄せ」と呼ばれている作業です。消えた年金問題では、約1,030万件の名寄せ確認が発生したので、ざっくり郵送代だけでも80円切手x1,030万件=8.4億円以上の費用がかかっているはずです!

事例② 手間も費用もかからない国勢調査

先日、電子私書箱のDigital Post※に、”Danmark Statistk” という日本の総務省統計局にあたるお役所からメールが届きました。

※Digital Boxは、行政が管理している電子私書箱で、市民一人ひとりが使える公的なEメールのようなものです。「CPRとNemIDはこんなに便利」で紹介しています。

なんだろう〜、と思いながらメールを開くと、「学歴」に関するアンケートのお願いメールでした。

何かの統計に使うらしく、義務教育は終わらせたのか、大学はどこに行ったのか、分野は何か、などの質問がデンマーク語と英語の両方で表示され、回答をクリックするだけで終わるとてもシンプルなアンケートです。5分もかからず終わりました。スマホでも回答できるので、とてもストレスフリーです。

国民全員にアンケートを出しているのか分かりませんが、日本で同じようなアンケートをしようとしたら、かなりの費用と労力が必要になるので、そんなに気楽に単発的なテーマのアンケートなんて出せないよなぁと思います。

例えばですが、5年に1回の国勢調査だと、日本では調査員が直接訪問して質問票を配り、回収するので、650億円の費用がかかるそうです!そりゃ、確かに5年に1回しかできないや。

デンマークだと、CPRとDigital Boxを使えば、そんなに費用をかけずにできてしまいますし、人手が掛からないので公務員もきっと少ないのだろうなと推測しています。費用が少なければ、税金はより有意義なところに投入できるので国民にとっては嬉しいメリットです。

利用者のプチ便利を増やせば電子行政は進むかも?

デンマークの電子行政は、
・オンラインで完結するように、
・不要な手続きは省くように、
・シンプルで分かりやすいように、等

利用者がちょっと喜ぶ些細な工夫を積み上げながらCPRを上手に使っている印象を強く受けます。

本当に些細ですが、プチ便利を積み上げたからこそ、市民にとっては手放せないCPRで、行政の効率も良くなるというWin-Winな状況を生み出せたのではないでしょうか。

日本のマイナンバーカードも、利用者にとって、ちょっと簡単なこと、ちょっと嬉しいことを増やしていけば、マイナンバーカードに対するポジティブな利用者体験が増え、「普通に便利じゃん」という声と共に自然に広がっていくと思います。

キャッシュレス還元のような大掛かりな取り組みも重要ですが、まずは手始めに、日本の役所や銀行の窓口などで、「マイナンバーカードお持ちの方専用 ファストパス レーン」を作るというのはどうでしょう?なんたって、ディズニーランドでファストパスレーンを通るときの優越感って、プチ幸せですよね〜 😏

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