デンマークでの仕事の探し方② デンマークは書類選考が最難関
いよいよ明日(9月1日)から、ここオーフスにある会社での新会社員生活が始まるのでちょっとドキドキ。
例えるならば、初めて小学校に行く前日のような感じです。
一応、会社員勤め14年の経験がありますが、日本とはまったく異なる流儀でやっていけるのだろうか、デンマーク人の上司や同僚とうまくやっていけるだろうか、期待されている役割を果たせるだろうか・・・、ちょっと緊張して眠れそうにない😅
***
さて、昨日から3回に分けて「デンマークでの仕事の探し方」をお届けしていますが、今日はデンマークの履歴書について紹介します!
① デンマーク版ハローワークを活用しよう
② デンマークは書類選考が最難関【← 本記事】
③ デンマークの採用面接はここが違う
デンマークでは履歴書(CV)が超大事
北米では履歴書のことを Resume と言うことが多いですが、デンマークでは履歴書のことを CV (Curriculum Vitae) と呼んでいます。
Resume は米国式、CVは英国・欧州式と言われていて、いずれも履歴書と言うよりも職務経歴書と言ったほうが正しいかなぁと思います。
厳密に言うと、
Resumeは職務経歴・学歴を1枚にまとめたもの、
CVは職務経歴・学歴に加えてパーソナルな自己紹介も含めた2~3枚程度のもの、
という違いがあります。(Curriculum Vitaeというのはラテン語で「人生の辿り道(course of my life)」という意味だそうです)
さて、デンマークも日本と同じように、↓のようなプロセスで選考が進みます。
書類選考 → 面接・試験 → 最終面接 → 内定・条件交渉
これは、どの国でも大きく変わらないと思いますが、デンマークでは書類選考の基準がものすごく厳しい!
ネットで調べてみると、日本の書類選考の通過率は30〜50%ぐらい。一方で、デンマークでは書類選考の時点でかなり吟味してふるいにかけるので、面接に呼ばれる人数が数名程度の場合も!
デンマーク版ハローワークのアドバイザーによると「デンマーク人は合理的だから、面接に無駄な時間を使いたくない」からだそうです。
少しオーバーかもしれませんが、違いを図にすると↓な感じ。
なぜこんなに書類選考が厳しいかというと、デンマークでは、日本のニュースで取り上げられることが増えている「ジョブ型雇用」が基本になっているからだと思います。
ジョブ型雇用では、仕事の内容・役割・必要なスキルと経歴を明確にして募集することが多いので、履歴書と募集要項を見比べて「経歴・スキルがぴったり合致する人だけ」を選ぶことができちゃいます。
だからこそ、自分の経歴・スキルが募集ポジションにマッチしている事をアピールできるように履歴書を書く必要があります。
ちなみに僕の場合は、約20社に履歴書を送り、書類選考を突破できたのは5社だけでした。知り合いの話では、英語ネイティブのアメリカ人やイギリス人ですら、面接に進めるまでに何十回も履歴書を送るそうなので、かなりハードルが高い!
正直に言うと、日本の会社は「ゼネラリスト」を育てる傾向があるので、日本の会社員はデンマークでの就活はかなり不利な気がします 😓
デンマーク流の履歴書
日本と違い、履歴書に決まったフォーマットがあるわけではありませんが、↓のような項目を含めるのが一般的のようです。(特徴的なところを太字にしています)
– 名前、住所、年齢
– 写真
– 全体サマリー的な自己紹介(Profile)
– 職務経歴
– 学歴
– スキルリスト & 言語
– 趣味や家族などのパーソナルライフ
いくつか面白いなぁと思うものを挙げていくと、、、
■ 年齢を記載するのが普通
欧米では、年齢による差別を防ぐため「年齢」を記載しないことが多いのですが、デンマークではなぜか年齢を書くのが普通のようです。
■ 写真はフレンドリーで笑っているものを使う
デンマークでは、会社の雰囲気やチームメンバーとのフィット感をとても重視するらしく、「フレンドリー」さが判断基準の1つになっているそうです。
そのため日本の履歴書のように、スーツ着用の真面目な証明写真を使うと、「フレンドリーでない」と敬遠されてしまうそうです。
なので履歴書には、スマートカジュアルな服装で、背景に海や窓を映しつつ、笑顔でにっこりした写真を貼りましょう。
■ 全体サマリー的な自己紹介(Profile)
職務経歴書や学歴の前には、全体サマリー的な自己紹介を記載します。アドバイザーによると、この部分で判断されてしまうことが多く、エントリーするポジションの募集要項に合わせて内容を精査・吟味することをお勧めします。
■ 趣味・家族などのパーソナルライフ紹介
写真の項目で挙げたように、デンマークでは「フレンドリー」さがかなり重要視されています。また「個性によってもたらされるユニークな意見・視点」にも価値を置いているようです。そのため、趣味の欄が意外に重要だったりします。
特に外国人の場合は、デンマークにどのくらい長く住みそうか? デンマークの文化や働き方に馴染んでくれるか?という点を確認するのに趣味の欄をチェックすることもあるそうです。
例えばですが、地元のサッカークラブに所属していれば、デンマークのコミュニティに属す意思が見られる・・・と安心するようです。また「デンマーク語の語学学校に通っている・・・」といった内容も概ねポジティブに受け入れてもらえる可能性があります。
■ 履歴書に書いてはいけないこと
デンマーク版マイナンバー(CPR番号)を履歴書に書くのは絶対NGです。昔はCPR番号を履歴書に書いていた時期もあったそうですが、現在は個人情報保護のため記載しないことになっています。(CPR番号を記載すると書いてある古いネット情報が残っているので要注意です)
***
デンマークでは書類選考がなかなか突破できないので、何度もエントリーする必要があり、ちょっと辛いところがあります。
ただ、繰り返していく内にどんどん履歴書の内容が進化していくので、ちょっと面白い。僕の場合は昨年の11月頃から本格的な就活を始めたのですが、その時の物に比べると、仕事を勝ち取った履歴書はシンプルで分かりやすくなり、かなりレベルアップしたなぁと思いました。
デンマークで仕事を探すなら、履歴書作成には時間をかけることをお勧めします!
ピンバック: 残業しない北欧の光と影 – Living in Denmark
ピンバック: 採用が難しいデンマークのジョブ型雇用 - Living in Denmark
ピンバック: デンマークでの仕事の探し方① デンマーク版ハローワークを活用しよう - Living in Denmark
ピンバック: 日本人サラリーマンがデンマークで採用を担当する話 - Living in Denmark
ピンバック: 日本人サラリーマンがデンマークでジョブ型採用を担当する話 - Living in Denmark