医療費無料のデンマーク、インフルエンザになったら?
先日のnoteで紹介したように、先週の僕はインフルエンザで辛い日々を過ごしました。
すでに回復しているのですが、しつこい鼻水と咳が残っているので全快にはあと一歩な感じです。
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さて、ここ2週間でインフルエンザが急激に流行ったので、僕の同僚や友達にもインフルで苦しんだ人がチラホラ。
で、少し興味があったので、周りの人に病院にかかったのかどうか聞いてみました。
なんたって「医療費が無料!!」というのは、福祉大国デンマークの売り文句の一つですから。
すると・・・
僕の周りでは誰も病院に行ってない (笑)
ちなみに僕も病院には行かずに自力で治したのですが、みんなの話を踏まえて、なぜ病院に行かないのかを整理してました。
理由その① 何もしてくれない
インフルエンザで病院にかからない最大の理由はとてもシンプル。
病院に行っても「帰って寝てなさい」と言われるだけだからねぇ
by 友達のFちゃん
そう!こちらででは「インフルエンザなら帰って寝てなさい。脱水症状は気をつけてね。コーラがオススメよ!」で診察が終わってしまうのです (笑)
僕が日本でインフルエンザになった際は、近所の内科に行ったらその場でインフルエンザの検査をしてくれて、陽性結果が出たのですぐに抗インフルエンザ薬を処方してくれました。
一方、デンマークの医療方針は「不要不急な医療行為や薬の投与はしない」が基本。特にインフルエンザは自己免疫で治る病気なので、薬の投与は「不必要」ということなのかもしれません。
そんなわけで、何もしてくれない病院に、わざわざ辛い思いをして赴かないのです。
ちなみにFちゃん、インフルエンザに特効薬があることも知らなかったようです。
理由その② そもそも診察が受けにくい
デンマークの医療システムでは、あらかじめ指定された「かかりつけ医(GP)」の診察を受ける必要があります。
そのためには基本予約が必要なのですが、予約は1〜2週間先まで満員なのでそもそも診察を受けることができません。
診療所によっては、早朝に行くことで無予約で診断を受けることもできますが、時間帯が決まっているので、微妙に使いにくいし、インフルで辛い時に早起きして診療所に行くのは非常に辛い・・・😅
日本のように好きな病院に飛び込むわけにはいかないのです。
ちなみに、抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を抑えることで症状の悪化を防ぐ働きがあるので、発症から24時間以内に服用すると効果が高いそうです。
日本の医療システムなら24時間以内に診察を受けて、処方箋をもらって、服用する・・・というのは普通に現実的。
一方デンマークにおいては、たかだかインフルエンザの症状で24時間以内にかかりつけ医の診断を受けるのは難しいのかもっ。
理由その③ 薬がめちゃくちゃ高い
デンマークの「無料医療」という言葉はあまり正確ではありません。
なぜかというと、お薬は無料でないからです。
しかも自己負担率がべらぼうに高い!
例えば、抗インフルエンザ薬の「リレンザ」。
僕の家計簿によると、2016年にインフルエンザにかかった時に処方されたリレンザの自己負担は2,460円でした。病院の診察・検査代が2,240円だったので、トータルでも4,700円しか負担していません。
一方で、同じザナミビルという成分をもつお薬をデンマークで処方されると・・・
なんと500クローネ(約9,000円)!!
お薬だけで、いきなり1万円近い出費です。
インフルエンザとは違う意味で頭がくらくらしちゃう・・・
この価格レベルになってしまうのなら、ちょっと辛いかもしれないけど、自己免疫で頑張りたくなりますよね・・・。
つまり、病院診療代は無料だけど、お薬を含めたトータル自己負担で言うと、日本の方が圧倒的に安いかもしれないという事実なのです😅
※ 注: デンマークの医療システムでは、薬の自己負担が一定金額以上にならないようになっています。そのため、持病が持っている人、継続的に薬の処方が必要な人の負担はちゃんと軽減されるようになっています。詳しくはこちら。
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日本の医療システムは、3割の費用負担を国民に求める代わりに、医療機関に自由にかかることができたり、高価な薬でも手頃な価格で処方してもらえたりと、とても高い利便性が確保されています。
一方、デンマークは無料診療ですが、「本当に必要な人に医療を提供する」という方針。そのため、普段の生活ではあまりメリットを享受することができない可能性が高かったりします。(あっ、でも、いつでも気軽に無料で受けられるPCR検査はすごいメリットかも)
まぁ、そういうわけで、インフルエンザごときでは病院にはかからないデンマークなのでした。